有線ネットワークのPEST分析

無線ネットワークが5Gで世間がわいている中で、あえて有線ネットワークについて考えてみました。
 
今回は有線ネットワークを取り巻く環境について、PEST分析で考えようと思います。
 
 
PEST分析は、次の4つの要素から分析したい対象(今回では有線ネットワーク)の環境について考えます。
  • Politics(政治):政治動向、規制緩和、税制、法改正、デモなど
  • Economy(経済):消費や景気の動向、為替や金利の動き、経済成長率など
  • Society(社会):少子高齢化、多様化、トレンド、消費者志向の変化など
  • Technology(技術):技術革新、特許、インフラ、IT化、情報時代など
そして、これらは対象が直接的に影響を与えられないものです。
 
では、さっそく上から順番に考えていきます!
 

Politics(政治)

政治的な観点から「ギガスクール構想」と「CO2排出量の削減」の二つを取り上げます


ギガスクール構想
 
ギガスクール構想でよく取り上げられるのは、生徒一人につき一台の端末を配布することです。
それを使用する際に通信する機会も生じてくるため、校内LANを設置する必要があります。

CO2排出量の削減
有線ネットワークと関係がなさそうですが、とても大事になってくると思います。
最近よく
 
遠隔操作、または自動制御で、○○%の電力削減
 
というのを目にしませんか?
 
今後こういったIoT機器を制御する際に、有線ネットワークが普及する可能性があります。
IoT機器の給電と通信を一本のケーブルで行える規格が標準化されたためです。 

www.phileweb.com

まだ低い電力供給・遅い通信速度ですが、今後に期待したいです。

 

Economy(経済)

経済としては、三つ取り上げます。

「コンテンツ配信企業の伸び」、「携帯料金値下げ」、そして「北極海の海底ケーブル」です!

コンテンツ配信企業の伸び
コンテンツ、特に動画を配信する企業・サービスが近年とても増加しています。
これにともなって、データ通信量も増えている。

音声配信サービスに比べ、動画配信サービスがデータ通信を圧迫していることを知るのに以下のサイトが良いと思います。

marketing.itmedia.co.jp

 

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動画データと音声データの通信量の比較(参考:https://marketing.itmedia.co.jp/mm/articles/1908/31/news027.html


携帯料金値下げ
これも有線ネットワークの観点では通信量が増えることにつながるのではないか、と考えています。
 
次のサイトの情報から大手3キャリア(楽天以外)の約半数は1GBから7GBの小容量のプランだということです。

mmdlabo.jp

 

この小容量プランで契約していた人が、一か月20GBまで使えるプランに変更すると、必然的にデータ通信量は増えてくる可能性があります。

北極海の海底ケーブル
このことから、北海道がデータセンターのよい立地になると考えられています。
また、近年の自然災害の増加からデータセンターの分散が大切だという意見が出てきています。
 
データセンター間のやりとりを行うのはもちろん有線ネットワークです
 

Society(社会):少子高齢化、多様化、トレンド、消費者志向の変化など

コロナ禍による社会の傾向として、「コロナによるICT化の進展」と「巣ごもり消費」と

コロナによるICT化の進展

ICT技術の導入例としてテレワークを取り上げると、2020年3月と比較して2020年4月は実施率が2倍に上がっていたそうです(参考サイトの図表2-3-2-5)

www.soumu.go.jp

テレワークが定着するかは、もう少し待ってみないといけないのかもしれません。

また個人的な感想として、エッセンシャルワーカーの方が働く様子をニュースなどで見ていると、人手ではなく技術で課題を解決する必要性を強く感じました。


巣ごもり消費
映画館に行けないから、スマホで見よう、となった方は多いはず。
Netflixの会員数はコロナが流行りだしたタイミングで急増しています。

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Netflixの会員数の増加(Netflixの決算より)

グラフは年初来を基準にした会員数の増加を表しています。

 

Technology(技術)

最新技術の中で、私が特に有線ネットワークと関わりがある、あるいは負荷をかけてくると感じたものをピックアップします。これ以外にももちろんあると思います。

5G関連
Softbank Air に代表されるようなホームルータが近年普及してきています。
これがあると、有線の光回線を家に引き込まなくてもWi-Fiを使用することができます。
 
このことに加え、次の二つの普及から有線ネットワークから無線ネットワークにする際に使われていたWi-Fiに取って代わる可能性もあります。
  • ローカル5G
  • 5G対応パソコン

 

しかし、これからもWi-Fiと5Gが共存する社会があるという見方もあります。

www.cisco.com


AR・VR
ただの動画配信だけでなく、それに複雑な加工を加えたものをリアルタイム通信します。データとしては重すぎます。。。
 
一方、2020年はコロナ禍でAR・VRが注目された年でもありました。
テクノロジー専門調査会社IDCは、AR・VRの市場規模は2020年から2023年で約1兆2000億円から約7兆3000億円まで成長する予想をたてています。
 
今ではその通信容量を減らす取り組みも行われているようです。

https://www.akamai.com/jp/ja/multimedia/documents/white-paper/cdn-optimization-for-vr-streaming-whitepaper.pdf


自動運転

自動運転で主に次のことを通信は求められます。

  • 通信の高い信頼性
  • リアルタイム性
  • 多くの自動車の同時並行処理
信頼性を高くすると、冗長化をする必要があり、それだけデータ通信に負荷がかかります。
 リアルタイム性が求められれば、「ちょっと今、通信が混雑しているから後で送ろう」ということができません。
そして、上記の二つのことを同時に大量の自動運転自動車が行うと、ネットワークに負荷をかけてしまいます。
 
こういったことを回避するための技術に、エッジコンピューティングなどが考えられています。

 まとめ

有線ネットワークのPEST分析のまとめです。

  • Politics(政治):ギガスクール、CO2排出量の削減
  • Economy(経済):コンテンツ配信企業の伸び、携帯料金値下げ、北極海の海底ケーブル
  • Society(社会):在宅勤務、巣ごもり消費、コロナによるICT化の進展
  • Technology(技術):5G関連、AR・VR、自動運転