有線ネットワークのPEST分析
無線ネットワークが5Gで世間がわいている中で、あえて有線ネットワークについて考えてみました。
今回は有線ネットワークを取り巻く環境について、PEST分析で考えようと思います。
PEST分析は、次の4つの要素から分析したい対象(今回では有線ネットワーク)の環境について考えます。
そして、これらは対象が直接的に影響を与えられないものです。
では、さっそく上から順番に考えていきます!
Politics(政治)
政治的な観点から「ギガスクール構想」と「CO2排出量の削減」の二つを取り上げます
ギガスクール構想
ギガスクール構想でよく取り上げられるのは、生徒一人につき一台の端末を配布することです。
それを使用する際に通信する機会も生じてくるため、校内LANを設置する必要があります。
CO2排出量の削減
有線ネットワークと関係がなさそうですが、とても大事になってくると思います。
最近よく
遠隔操作、または自動制御で、○○%の電力削減
というのを目にしませんか?
今後こういったIoT機器を制御する際に、有線ネットワークが普及する可能性があります。
IoT機器の給電と通信を一本のケーブルで行える規格が標準化されたためです。
まだ低い電力供給・遅い通信速度ですが、今後に期待したいです。
Economy(経済)
経済としては、三つ取り上げます。
「コンテンツ配信企業の伸び」、「携帯料金値下げ」、そして「北極海の海底ケーブル」です!
コンテンツ配信企業の伸び
コンテンツ、特に動画を配信する企業・サービスが近年とても増加しています。
これにともなって、データ通信量も増えている。
携帯料金値下げ
これも有線ネットワークの観点では通信量が増えることにつながるのではないか、と考えています。
次のサイトの情報から大手3キャリア(楽天以外)の約半数は1GBから7GBの小容量のプランだということです。
この小容量プランで契約していた人が、一か月20GBまで使えるプランに変更すると、必然的にデータ通信量は増えてくる可能性があります。
北極海の海底ケーブル
このことから、北海道がデータセンターのよい立地になると考えられています。
また、近年の自然災害の増加からデータセンターの分散が大切だという意見が出てきています。
データセンター間のやりとりを行うのはもちろん有線ネットワークです
Society(社会):少子高齢化、多様化、トレンド、消費者志向の変化など
コロナ禍による社会の傾向として、「コロナによるICT化の進展」と「巣ごもり消費」と
コロナによるICT化の進展
ICT技術の導入例としてテレワークを取り上げると、2020年3月と比較して2020年4月は実施率が2倍に上がっていたそうです(参考サイトの図表2-3-2-5)
www.soumu.go.jp
テレワークが定着するかは、もう少し待ってみないといけないのかもしれません。
また個人的な感想として、エッセンシャルワーカーの方が働く様子をニュースなどで見ていると、人手ではなく技術で課題を解決する必要性を強く感じました。
巣ごもり消費
映画館に行けないから、スマホで見よう、となった方は多いはず。
Netflixの会員数はコロナが流行りだしたタイミングで急増しています。
Technology(技術)
最新技術の中で、私が特に有線ネットワークと関わりがある、あるいは負荷をかけてくると感じたものをピックアップします。これ以外にももちろんあると思います。
5G関連
Softbank Air に代表されるようなホームルータが近年普及してきています。
このことに加え、次の二つの普及から有線ネットワークから無線ネットワークにする際に使われていたWi-Fiに取って代わる可能性もあります。
- ローカル5G
- 5G対応パソコン
AR・VR
ただの動画配信だけでなく、それに複雑な加工を加えたものをリアルタイム通信します。データとしては重すぎます。。。
一方、2020年はコロナ禍でAR・VRが注目された年でもありました。
今ではその通信容量を減らす取り組みも行われているようです。
自動運転
自動運転で主に次のことを通信は求められます。
- 通信の高い信頼性
- リアルタイム性
- 多くの自動車の同時並行処理
信頼性を高くすると、冗長化をする必要があり、それだけデータ通信に負荷がかかります。
リアルタイム性が求められれば、「ちょっと今、通信が混雑しているから後で送ろう」ということができません。
そして、上記の二つのことを同時に大量の自動運転自動車が行うと、ネットワークに負荷をかけてしまいます。
こういったことを回避するための技術に、エッジコンピューティングなどが考えられています。
まとめ
有線ネットワークのPEST分析のまとめです。
- Politics(政治):ギガスクール、CO2排出量の削減
- Economy(経済):コンテンツ配信企業の伸び、携帯料金値下げ、北極海の海底ケーブル
- Society(社会):在宅勤務、巣ごもり消費、コロナによるICT化の進展
- Technology(技術):5G関連、AR・VR、自動運転