「ケーキの切れない非行少年たち」の感想
本書を読む前
この本を読む前は「非行は悪ガキがすること」と思い込む一方で、私は「非行少年」たちと関わったことがありませんでした。
そこで、彼らがどういった方たちなのかを知る機会として本書を読んでみました。
本書を読んで
私が強く印象に残っていることは三つあります。
一つ目は、非行少年には5つ+1の特徴があると筆者は述べていたことです。以下がその特徴です。
- 認知機能の弱さ
- 感情統制の弱さ
- 融通の利かなさ
- 不適切な自己評価
- 対人スキルの乏しさ
- (+1)身体的不器用さ
これらの特徴を持つこと自体、彼らの責任ではないです。
しかし、こういった特徴により学校生活・社会生活になじめず、しんどい思いを非行少年たちはしていたことを知りました。 このことを大人たちに適切に理解してもらえず、状況が悪化して最終的には非行に走ってしまう子もいるようです。
二つ目は、著者が関わった性加害者の95%はいじめを受けていた、ということです。 いじめで受けたストレスを発散するために、このようなことをしてしまうそうです。
この本を読むまでは、
「性加害者はどれだけ他人のことを思いやれないのだろうか」
と考えていましたから、目からうろこでした。
いじめの被害者だから何をしてもいい訳はありません。 ですが、いじめが無ければ・気が付いていれば、性加害者になっていなかったのかもしれない、と感じました。
三つ目は、昔の基準における軽度知的障害の方は人口の15%ほどいると著者は指摘していたことです。
このことから、生きづらさを感じる人が思ったより多いことを気が付かされました。
また、学校生活で非行少年の特徴に類似した特徴をもつ
- すぐにカッとなる人
- これだ!と思ったら他の選択肢が見えなくなる人
- 「私なんて…」と自己評価が極端に低い人
- 人に助けを求めるのが苦手な人
- スポーツで言われた通りに体を動かせない人
が近くにいたという経験もありますし、自分自身も当てはまるものもあります。
本書からの学び
本書を読むまで「非行は素行の悪い子がすること」という一方的な思い込みしかありませんでしたが、彼らの多くには「生きづらい」と感じる様々な要因が絡んでいることを知りました。
そして、生きづらさを感じている人は非行少年に限らず、身の回りに意外と多いのではないか、とも感じました。
「何か変わった人。。。」ではなく、「もしかして?」と気遣う
といったように、さまざまな視点をもって接することが非行(良くない行動)を未然に防ぐために大切だと身に染みて感じました。